コラム「理・夢・久・遊」

NO.31「不都合な現場」からのSDGs

最近、地球環境の視点からプラスチックも分解できる生分解性プラスチックの研究が盛んである。
元来プラスチックは、分解されにくい特性こそが最大の強みである。
その他、腐らない、成形しやすい、加工しやすい、軽くて強い、

錆びない、電機絶縁性に優れている、透明性がある、着色しやすい、安価、大量生産しやすい・・・。

だから人類の進化とともに地球上で利用された。

生分解性プラスチックの開発は急務だが、分解されにくいプラスチックの必要性も残り続けるのではないだろうか。
プラスチックを大切に使う、安易にプラゴミ化しない、プラゴミを拾う活動もSDGsとなる。

2021年11月、1泊2日で大手化学メーカーの労働組合団体が主催する「対馬海岸清掃ボランティア」に参加してきた。

玄海灘北方に位置する対馬は、対馬海流に乗って東アジアの海洋プラスチックゴミが日本一が漂着している地域。
海岸に漂着するゴミには、流木・灌木・加工木の他、発泡スチロール、プラスチック類、漁網、漁業用ブイ、ペットボトルなど無数にある。
さすが、日本一の海洋プラゴミの地域である。
海岸清掃しても、1~2週間で漂着できずに海中で浮遊していたゴミが再漂流してくるそうだ。
ペットボトルのバーコードで国を識別してみると、ほとんどが日本・中国・韓国。少数だがフィリピン・ベトナム・インドネシアなどいろいろある。

透き通った美しい海と海岸ゴミのコントラスト。
地球と人間との負の関係性が凝縮されたディストピアにも映る。


プラゴミを放置しておくと紫外線でマイクロプラスチックとなり、更なる環境汚染や生物・生態系・人体への悪影響を及ぼすことになる。

プラスチック製造をしている化学メーカーの労働組合団体が

日本一海洋プラゴミ問題を抱える現地まで足を運び、現場で現物を見て、現実を理解する組合活動。
化学メーカーにとっては、本当に「不都合な真実(現実)」だろう。
見て見ぬふりをするのではなく、それに対峙しようとする誠実さがこの団体にはある。

重たいテーマだからこそ、実際にはシーカヤックをワイワイ漕いで、人間が入りにくいリアス式の無人海岸にある大量ゴミを、みんなで楽しみながら拾う体験であった。

イノベーションの起点は、やむにやまれぬ思い。
不都合な現場に行けば、そんな思いが引き出されてくる。

イノベーションのレベルも、社会課題解決から社会価値創造へ。
みんなで共有すれば、文殊の知恵も湧いてくるというものだ。