コラム「理・夢・久・遊」

NO29. エシカル消費(倫理的消費)とは

友人に誘われとある「平和教育」の講演会に参加した。

「コンゴ紛争(第二次コンゴ戦争 1998年から続き、現在も紛争状態)をご存じですか。」

講師の問いから始まった。

第二次世界大戦以後の戦争(紛争)としては史上最大の戦死者を出しています。
その数は、540万人とも言われています。
コンゴには、隣国から反政府やコンゴ政府支援などの大儀を掲げ、国境を越えてくる侵入者が後を絶たないからです。

では、なぜ隣国が侵入してくるのでしょうか。
コンゴ(旧ザイール)は、レアメタル・ダイヤモンド・金・銅などの天然資源の宝庫だからです。
その天然資源を狙い隣国から常に侵入者が入ってきます。

隣国ウガンダの侵入者は、子供たちを誘拐し、暴力で洗脳し、子ども兵(18歳未満の兵士)を養成します。
子ども兵は、まず自分の村や母親を襲撃させられます。
村の仲間を殺し、母親の腕を切断した子ども兵は、帰る故郷を失いその侵入者たちの言いなりになるからです。

負傷などした子ども兵が生き延び、生まれ故郷の村に戻ってくることがあります。
多くの元子ども兵は、長期の人殺し生活で身体的・精神的トラウマに苛まれます。
母親の腕を切断してしまった心の傷が癒えることはありません。
元子ども兵は、コミュニティからの偏見と差別も受けます。
基本的な教育も受けていないので、社会復帰もままなりません。

そんな子どもたちを助けたいと思い「元子ども兵社会復帰プロジェクト」をウガンダで立ち上げました。
「子ども兵」だけではなく、「地雷」「小型武器」「平和教育」という視点でアフリカ・アジア支援をしています。

もう20年もそんな活動を続けている団体がある。
認定NPO法人 テラ・ルネッサンスである。

創設者 鬼丸 昌也氏の熱弁は続く。

でも、ウガンダやコンゴ支援に行って思ったんです。

そもそもそのレアメタル・ダイヤモンド・金・銅ってウガンダやコンゴの人が使っているのか。
いや、その殆どが先進国で使われている。
先進国(私たち)の贅沢な消費が遠因でこの紛争が続いているとしたら、僕のこの支援は偽善に過ぎないのではないか。

僕には一体何ができるのだろうか。

先進国の私(たち)が変わればいいんだ。
先進国(日本)の人にこの事実を知ってもらうことは僕にもできること。

既に20万人以上にこの話をしているそうである。

私(たち)は微力かもしれないが、無力ではない。

世界は常につながっている。
消費を変えることは、世界を変えていくこと。
「エシカル消費」とは、関わる人全てが幸せになるような消費行動のこと。

SDGsの目標12は、「つくる責任 つかう責任」。
エシカル消費そのものである。
私たち産業人は、「つくる責任」も問われている。