お役立ち

NO.28 交換経済から贈与経済(非等価交換経済)へ

東京の西国分寺駅前にクルミドコーヒー※というお店がある。

ここには、「お手紙コーヒー(恩送りコーヒー)」という変わったメニューがある。
システムはこうだ。
①まず「お手紙コーヒー」を注文する。
②そうしたらスタッフより1枚のお手紙カード(一杯のコーヒー券つき)をいただく。
③そのお手紙カードにまだ見ぬ誰かに思いをはせてメッセージを書く。
国分寺へ引っ越してきたあなたへ。介護で大変なあなたへ・彼氏にふられちゃったあなたへ・勉強を頑張っているあなたへ。・・その宛先は誰でもよい。メッセージもなんでもよい。
④記入したお手紙カードは、お店の2階に置かれる。
⑤お店に来られた誰かが、「これは、自分宛のメッセージ」だと感じたらそのカードでコーヒー(一杯のコーヒー券)をいただくことができる。
⑥受け手が希望すれば、その送り主に返信メッセージを書くこともできる。
お店に渡せば、お店が切手を貼って送り主へお手紙を郵送してくれるのだ。
⑦当然、自分が送り手にならず、受け手になることもできる。

まだ見ぬ誰かに手書きの手紙(一杯のコーヒー券つき)を書き、受け手が送り手にメッセージを返す、そして自分もいつかは送り手になっていく、という恩送りの循環システムである。
筆者が訪れた時は、開店前から行列ができていた。
仕事も私生活も無機的な忙しい(時間対効果)中で、手間暇かける共感の輪が少しづつ広がっていた。

安いくて早くてよいもを追求する起業間競争、その指標は法定通貨の多寡である。
その中で交換経済から贈与経済が回帰しはじめている。
そう言えばこのお店では、法定通貨だけではなく「ぶんじ」という地域通貨でも決済ができた。

日本には、古くから「おっそわけ」も「お布施(寄付ではない)」など単純な等価交換ではなく贈与(恩送り)の思想も満ちて溢れていた。

話は飛躍するが、世界の400以上の銀行や金融機関が参加している国際金融協会(IIF)によると、世界の債務残高は2020年末時点で281兆5000億ドル(約2京9600兆円)となったそうである。
資本主義は既に限界に達している。

また、プラネタリーバウンダリー(地球の限界)の視座から、世界の趨勢が成長から成熟、競争から共生、エコノミーからヒューマニティにシフトしている。

これからのイノベーションは、成長志向の資本主義(交換経済)ではなく、それを補完する成熟志向の贈与経済に向き始めている。