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No.19 リバースイノベーション

新年、おめでとうごさいます。

今年の年賀状はどうされましたか。
SNS、挨拶自体を虚礼として廃止、やはりカラープリンター出力で手書きの年賀状・・・。
いろいろ分かれてきました。
多様であることは、本当に素晴らしい。

振り返ると、筆記型コミュニケーションもイノベーションの歴史だった。
毛筆(墨と硯)や羽ペン、
万年筆やボールペン、
鉛筆やシャープペンシル。

ここからはデジタルイノベーションに変質し、
ワープロ、
電子メール、
SNS(Twitter→Facebook→Instagram→LINE→TikTokなどの動画メッセージ・・・)
未来にはどんなイノベーションが起こるのだろうか。
楽しみである。

今号はお正月なので年賀状での必需品、日本が世界に誇るインクジェットプリンターについて考えてみる。

エプソンが1984年に初モデルを投入した時は、国内価格は49万円。
プリンター本体ではなくインクカートリッジ(消耗品)を交換して儲けるというビジネスモデル(ジレットモデル)の導入とともに、本体価格は10万円、1万円代と低価格化し、複写機を導入できない個人事業主や家庭にも急速に普及した。

高性能・低価格のインクジェットプリンターは、2000年ごろにはインドネシア・中国・インドなど成長国にも展開されていく。

日本や北米などでは8割以上が純正品カートリッジであったが、インドネシアなど今後成長が見込める新興国ではサードパーティ(海賊版)の互換インクが主流となり、純正品は2割に留まっていた。
海賊版を特許侵害で訴えるのが通常だろうが、ここは細かな法令遵守より商魂たくましく成長している新興国。
ユーザーも有象無象の中小企業が対象となる。
実際は海賊版の互換インクで大容量印刷をし、故障や修理費などの費用は嵩んでいたはずだが、ユーザーには啓蒙活動だけではなかなか理解してもらえない。

エプソンは、現地のお客さまと戦わなければならないというビジネスモデルを捨て、逆手の発想で大勝負に出る。
常勝だったジレットモデル(消耗品交換)で儲けることを捨て、大容量インクパックを取り付けたインクジェットプリンター「エコタンク」を逆開発したのだ。
お客さまのインク交換を減らし、純正品なので故障も減らし、海賊版も蹴散らしたエコタンクモデルの世界累積販売台数が
2018年には3,000万台、
2019年には4,000万台、
2020年には5,000万台を超えたそうである。

日本の開発拠点の広丘事業所(長野県塩尻市)はあっという間に6000名体制へ。

新興国発のリバースイノベーションの極み、お見事。

 

(2021/1/5)