お役立ち

No.12 イノベーションを起こすには

既成概念の世界に新しい概念を創造していくイノベーション。
歴史ある大企業よりベンチャー企業やスタートアップ企業が意思決定スピードも早く有利であると思われがちである。
果たして本当にそうだろうか?

イノベーションにおけるスタートアップやベンチャー企業の優位性は何か。
やはり敏捷性(小回り・スピード)であり、成功体験(既成概念)が乏しいので試行錯誤(失敗体験)がしやすい集団であるということであろう。
必要な資金を含めたリソースも乏しいが、夢やエネルギーだけは負けない。
組織以前の集合体であることも多い。

では、大企業にイノベーションの優位性はないのか。
否である。
大企業でも無数のイノベーションは起きている。
むしろ、大企業こそイノベーションに必要なリソースに溢れている。

第一に、社内に豊富な「ヒトと組織(高度な技術者と技能者・研究開発・マーケティングや法務・広報などのプロフェッショナル・販売体制)」がいる。
第二に「モノ(生産設備や協力関係会社ネットワーク)」が既にある。
第三に、イノベーションは失敗の連続であり、それを継続できるだけの「資金力(内部留保)」がある。
航空小型機で連続世界一売れているホンダジェットは研究開発期間の30年間は1円の利益を生んでいないはずである。
第四に、顧客との時間をかけて築き上げた「ブランド力(信用)」もある。
「SONY」と「SONI」は似て非なる。
他にも、「失敗の経験知」という知財もあるかもしれない。

ただし、組織が大きすぎて、事業部や職種に壁ができていたのだ。
1兆円企業の数千億円事業部門が、売上高1億円の新規事業を判断できるのだろうか。
数千単位の仕事を継続している部門に、0から1を起こすことの大変さや偉大さはなかなか伝わらない。
既存事業の深堀りと新規事業開発とは役割が違うのだ。
最近の経営の言葉で言えば、「知の深化」と「知の探索」という。
その「両利きの経営※」が重要なのだ。

両利きの経営で要になるのは、プライドも感情もある双方を繋ぐ存在である。
労働組合が、組織内(時には組織外)で双方を繋ぐハブ役を担うことが、大企業のイノベーション戦略にもなるのである。

※スタンフォード大学経営大学院のチャールズ・オライリー教授とハーバード・ビジネス・スクールのマイケル・タッシュマン教授が、提唱。イノベーションを起こすには、既存事業を強化しつつ(知の深化)、従来とは異なる知を組み合わせて新規事業も開拓しつづける(知の探索)の「両利きの経営」が重要とする理論。

 

(2020/6/16)